BorlandC++ Compiler 5.5
 によるDXライブラリの使い方


 BorlandC++ Compiler 5.5 を使用してDXライブラリを使ったソフトを制作するには以下のような手順を踏みます。

1.BorlandC++ Compiler 5.5 によるプログラム開発に必要なものを揃える

2.DXライブラリを使うために必要なものを揃える

3.BorlandC++ Compiler 5.5 のセッティングをする

4.プロジェクトの作成

5.プロジェクトへDXライブラリファイルを追加

6.プロジェクトへ新規プログラムファイルを作成・追加

7.プログラムを組む

8.プロジェクトのビルド、実行



1.BorlandC++ Compiler 5.5 によるプログラム開発に必要なものを揃える

 BorlandC++ Compiler 5.5 を使用して快適にプログラム開発が出来る ようにするには以下のものが必要です。

  BorlandC++ Compiler 5.5
  BCC Developer

 まず一つ目の BorlandC++ Compiler 5.5 はプログラムをコンパイル して実行可能なソフトを作成するのに無くてはならない代物です。
 なんとこちらはボーランドのWEBページにて無料で配布されていますので、有り難くダウンロードさせて頂きましょう。

ボーランドの BorlandC++ Compiler 5.5 無料ダウンロードサービスページ
http://www.embarcadero.com/jp/products/cbuilder/free-compiler

 ダウンロードが完了したら、ここでとりあえずインストールしましょう。
 インストール先はデフォルトである c:\borland\bcc55 にして下さい。 というのもこれから BorlandC++ Compiler 5.5 のインストール先は全て c:\borland\bcc55 を前提として説明をするからです。


 二つ目の BCC DeveloperBorlandC++ Compiler 用の 開発環境ソフトです。
 BorlandC++ Compiler 5.5 だけでもプログラムのコンパイルは可能ですが あまり初心者向けでは無い、というか、取っ付き難いので、とりあえずこちら をダウンロードして下さい。

    Jm HomePage
    http://www.hi-ho.ne.jp/jun_miura/

 ちなみにダウンロード出来るファイルは lzh という形式のデータ圧縮が 施されてされています。解凍(元に戻す事)をして元の形に戻さないと使うことが 出来ませんので、もし解凍ソフトが無い方はこちらから解凍ソフトをダウンロード して下さい。

    Lhasa32 (ベクターダウンロードページ)
    http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se026842.html

 こちらのソフトの使い方はLhasa32に付属のドキュメントをご覧下さい。

 BCC Developer を無事解凍することが出来たら、とりあえず実行して 下さい。(bccdev$$$$ フォルダ内の BccDev.exe をダブルクリック($$$$=バージョン番号))
 初回起動の場合は『環境設定』ウインドウが開かれるはずです。
 まず『コンパイラ設定』タブが選択されていて、『コンパイラ』の項目でカーソルが 点滅していると思いますが、ここに先程インストールした BorlandC++ Compiler 5.5 のフォルダ中の BCC32.exe のパスを入力してください。

 因みに先程の説明通り BorlandC++ Compiler 5.5c:\borland\bcc55 に インストールした場合は

    c:\borland\bcc55\Bin\bcc32.exe

 となります。

 必要最低限の設定はこれだけです。
 後は見て分かる範囲で好みの設定をして、それが終わったら『環境設定』 ウインドウの下のほうにあるボタン『設定』を押して、ウインドウを閉じて 下さい。
 BCC Developer の設定は以上です。
 とりあえず『×』ボタンを押すなりしてソフトを終了しましょう。



2.DXライブラリを使うために必要なものを揃える

 BorlandC++ Compiler 5.5 を使用してDXライブラリを使うには コンパイラとDXライブラリ Windows版 Borland C++ Compiler 5.5用が必要です。
 DXライブラリ Windows版 Borland C++ Compiler 5.5用をまだダウンロードされていない場合は、 本サイトのダウンロードページにありますので、ダウンロードしておいて下さい。



3.BorlandC++ Compiler 5.5 のセッティングをする

 さて、BorlandC++ Compiler 5.5 でプログラムをする為のアイテムは 全て揃いました。(因みにDXライブラリは間違いなく Borland C++ Compiler 5.5 用のパッケージをダウンロードして下さいね)

 最後に C の標準ライブラリの位置を Borland C++ Compiler 5.5 が 分かるようにする必要があります。

 まずは Borland C++ Compiler 5.5bin フォルダを開いてください。
(説明通りにして頂いていれば c:\borland\bcc55\bin となります)

 そして徐にウインドウズの標準ソフト『メモ帳(Note Pad)』を開いてください。

 何故メモ帳なのかといいますと、位置を知らせるための手段は設定ファイルを作るしか無く、そしてその設定ファイルはテキストファイルだからです。

 ともあれ、まずは何も書いていない状態で『ファイル』→『名前をつけて保存』をして下さい。
 c:\borland\bcc55\bin の位置までフォルダを移動し、ファイル名は 『"bcc32.cfg"』 とします。注意することは必ずファイル名を『"』で囲ってやる必要が あることです。囲わないと『bcc32.cfg.txt』というファイル名で保存されてしまいます。

 次に設定ファイルの中身を記述します。
 まず、

-I"

 と書いて下さい。
 そしてその後ろに BorlandC++ Compiler 5.5 がインストールされたフォルダの中にある 『Include』というフォルダのパスを記述します。
 説明どおりに BorlandC++ Compiler 5.5 をインストールされている場合は c:\borland\bcc55\Include になると思いますので

-I"c:\borland\bcc55\Include

 となります。
 この行はこれだけです。終端に『"』を入れて

-I"c:\borland\bcc55\Include"

 この行は完成です。
 次の行はまず

-L"

 と書いて下さい。(全部半角です)
 次に Borland C++ Compiler 5.5 がインストールされたフォルダに存在する 『Lib』フォルダのパスを記述します。
 説明どおりに BorlandC++ Compiler 5.5 をインストールされている場合は c:\borland\bcc55\Lib になると思いますので

これを先ほどの『-L"』に加えて

-L"c:\borland\bcc55\Lib

 となります。
 次に今追加した Borland C++ Compiler 5.5 の『Lib』フォルダの中にある『PSDK』という名前のフォルダのパスを 『;』で区切って記述します。前述どおり『Lib』フォルダの位置が c:\borland\bcc55\Lib だとすると、c:\borland\bcc55\Lib\PSDK となるので、

-L"c:\borland\bcc55\Lib;c:\borland\bcc55\Lib\PSDK

 となります。
 最後に『"』を付け足して

-L"c:\borland\bcc55\Lib;c:\borland\bcc55\Lib\PSDK"

 完成です。
 と同時に、これで bcc32.cfg ファイルの完成です

完成例

-I"c:\borland\bcc55\Include"
-L"c:\borland\bcc55\Lib;c:\borland\bcc55\Lib\PSDK"

 この状態で保存してください。(しつこいですが、文字数が多すぎて1行目が2行になってしまっていますが、『-L』の部分から2行目なのでその前までは一行目です(汗))
 因みにまだメモ帳は閉じないで下さい。


 次にもう一つの設定ファイルである、ilink32.cfg を作る必要があります。
 これは簡単に作れます。何故なら先程作成した bcc32.cfg の2行目部分だけを 抜き出したものが、ilink32.cfg に必要なものだからです。

 では作りましょう。
 まず徐に

例:
-I"c:\borland\bcc55\Include"
-L"c:\borland\bcc55\Lib;c:\borland\bcc55\Lib\PSDK"

 の一行目を削除

例:
-L"c:\borland\bcc55\Lib;c:\borland\bcc55\Lib\PSDK"

 しましょう。
 そして、『ファイル』→『名前を付けて保存』で、bcc32.cfg があるフォルダと同じフォルダに 『"ilink32.cfg"』 という名前で保存してください。これも bcc32.cfg と同じく 必ず『"』で囲うことに注意してください。そうしないと『ilink32.cfg.txt』という ファイル名で保存されてしまいます。

 二つの設定ファイルが出来上がったら、とりあえずパソコンを再起動して下さい。
 何故なら、再起動しないと設定が反映されないからです。

 長かったですが、これで BorlandC++ Compiler 5.5DXライブラリを使う為の準備は整いました。



4.プロジェクトの作成

 さてライブラリを使うための準備はこれで整ったわけですが、実際にDXライブラリを使ったソフトウェアを作成する方法を知らないことには何も出来ません。
 そこでここでは一つのサンプルプログラムを動かすところまでを記したいと思います。 そのサンプルでやる事はただ一つ、『画面の中心に点を打つ』これだけです。

 BorlandC++ Compiler 5.5BCC Developer でソフトを作るにはまず 『プロジェクト』を作成する必要があるので以下にその方法を示します。

 @ BCC Developer を起動します。

 A BCC Developer のメニューの[ファイル]→[新規作成]
                             を選びます。

 B 新規作成ウインドウの『プロジェクト』タグを選びます

 C 次にプロジェクトを保存するフォルダパスを『ディレクトリ名』で設定します。
  (お好きなフォルダをどうぞ)

 D 次にプロジェクトの名前を『プロジェクト名』に入力します。
                       ここでは仮に『test』とします。

 E 『OK』を押します。

 F 次にメニューの[プロジェクト]→[プロジェクト設定]を選びます。

 G 『プロジェクト設定』ウインドウの『アプリケーション』タグを選択し、
  その中の『ターゲット』で囲まれている中の『Windowsアプリケーション 』
  を選択します。

 H 『プロジェクト設定』ウインドウ下部の『設定』ボタンを押します。
   これでプロジェクトの新規作成は完了です。



5.プロジェクトへDXライブラリファイルを追加

 これでプロジェクトは生成されました。
 次に行うべき作業は新しく生成されたプロジェクトのフォルダにDXライブラリを使うために必要なファイルをコピーすることです。

 作業は1工程のみです。
 プロジェクトを作成する時に指定したフォルダにDXライブラリを解凍したフォルダの中にある 『プロジェクトに追加すべきファイル_BCC用』という長いフォルダ名のフォルダの中のファイルを全てコピーします。



6.プロジェクトへ新規プログラムファイルを作成・追加

  工程4までで DXライブラリを使ったプログラムを組むための準備が すべて整いました。あとはプログラム本体を作成し、実行するだけです。
 次に新規のプログラムファイルを一つ作成しプロジェクトに追加します。

  @ BCC Developer の『ファイル』メニューから『新規作成』を選びます。

  A 新規作成ウインドウの『ファイル』タグを選択します。

  B 『ファイル名』に適当な名前を入力します(半角英数のみ)、ここでは仮に
   『DrawPixel.cpp』とします。

  C その他のところを変更せずに『OK』ボタンを押します。これで新たに
   『DrewPixel.cpp』が作成されます。

 新たに作成されたプログラムファイルは何も書かれていないので次に示すプログラムを 入力します。



7.プログラムを組む

 後はプログラムを組むだけです。
今回サンプルとして実行するプログラムは次のようになります。

#include "DxLib.h" // プログラムは WinMain から始まります int WINAPI WinMain( HINSTANCE hInstance, HINSTANCE hPrevInstance, LPSTR lpCmdLine, int nCmdShow ) { if( DxLib_Init() == -1 ) // DXライブラリ初期化処理 { return -1 ; // エラーが起きたら直ちに終了 } DrawPixel( 320 , 240 , GetColor( 255,255,255 ) ) ; // 点を打つ WaitKey() ; // キー入力待ち DxLib_End() ; // DXライブラリ使用の終了処理 return 0 ; // ソフトの終了 }



 プログラムはこれだけです、どの部分が何をしているのか簡単に説明します。 まず最初の1行はDXライブラリを使用するために必要なファイルをインクルードしています。
 次の『int WINAPI WinMain( HINSTANCE hInstance, HINSTANCE hPrevInstance, LPSTR lpCmdLine, int nCmdShow )』はウインドウズのプログラムのスタート地点となる 関数の宣言です。それぞれの単語が何を意味しているかは特に考える必要はありません。 ウインドウ環境のスタート関数はすべてこの形の宣言をとります。
 中括弧関数最初の文『if( !DxLib_Init() ) return -1;』DXライブラリを 初期化して使える状態にするために必要な関数『DxLib_Init』を呼んでいます。 この関数はDXライブラリを使うプログラムを組む際には例外を除いてまず 最初に呼び出す必要があります。因みに『if(...』と書かれているのは初期化に 失敗したらその時点でソフトを終了させるという処理を行うための物です。
 『DrawPixel』はそのまま点を描画するための関数です。
 その次の『WaitKey』はキーが押されるまで処理を止める関数です。
 最後の『DxLib_End() ;』は注釈にも書いてある通りDXライブラリの使用を 終了する処理を行う関数を読んでいる文です。DXライブラリを使用している プログラムは最後に必ずこの関数を呼ばなくてはなりません。これを呼ばないで終ると 大変な事になりますので注意してください。



8.プロジェクトのビルド、実行

 入力が終ったら実行してみましょう。

  @ BCC Developer のメニューから[プロジェクト]→[メイク]を選択。
    エラーが起きなければ実行するためのソフトがこれで作成されます。
    エラーがあった場合は画面下のウインドウにエラー内容が出てきます
    ので指示にしたがって修正してください。

  A 次に[実行]→[実行]を選択してソフトを起動します。

 さて画面中心に点がうたれたでしょうか?
 実行するまでにかなり長かったような気がしますがその殆どがVisualC++.netでの ソフトウエア制作に必ず必要な作業ですので幾つかプログラムを組んでいけばすぐに慣れて しまう筈です。


 さて出来あがった実行可能ファイルですが、それはプロジェクトのフォルダの中の『Debug』 フォルダか『Release』フォルダの中に作成されます。これがこれまでの作業の成果となります。
 これでDXライブラリを使ってのソフト制作の方法はわかりました。後は好きに プログラムを組んでゲームを作るだけです。ですがまだDXライブラリの機能は 初期化と終了とドットを描画する関数しかわかっていません。  この他の関数はDXライブラリ関数リファレンスのページで解説されていますのでそちらを 参照して下さい。





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